日本には古くから伝わる伝統行事がたくさんありますが、その一つに「鏡開き」があります。お正月やお祝いの席で行われるこの行事には、一体どんな意味が込められているのでしょうか。ここでは、鏡開きの由来から具体的なやり方、そして混同されがちな「蔵開き」についてもご紹介します。

鏡開きとは？その意味と由来

鏡開き（かがみびらき）とは、お正月に飾っていた鏡餅（かがみもち）を下げて食べる行事のことです。年神様（としがみさま）にお供えしていた鏡餅には、年神様の力が宿ると考えられていました。その鏡餅をいただくことで、年神様の力を授かり、一年の無病息災や健康を願うという意味が込められています。

「鏡開き」という言葉には、「切る」「割る」といった言葉を使わず、「開く」という言葉を使います。これは、末広がりを意味する縁起の良い言葉として用いられ、運を開くという意味も含まれています。

鏡開きで用意する酒・食べ物

鏡開きでは、主に以下のようなものが用意されます。

鏡餅：年神様にお供えした鏡餅を使います。

日本酒（菰樽：こもだる）：祝いの席では、菰樽に入った日本酒を木槌で叩いて開く「鏡開き」も行われます。これは、酒樽の蓋を鏡に見立て、健康や幸福を祈願する意味があります。

ぜんざい・お汁粉：下げた鏡餅は、刃物を使わずに手や木槌で小さく割り、ぜんざいやお汁粉にして食べることが一般的です。お餅だけでなく、おめでたい具材を加えることもあります。

お雑煮：地域によっては、お雑煮に入れて食べることもあります。

鏡開きはいつ行う？

鏡開きを行う時期は、地域によって多少異なりますが、一般的には1月11日に行われます。これは、松の内（門松などを飾っておく期間）が明ける時期とされています。

1月7日：関東など、松の内が7日までの地域では、この日に鏡開きを行うこともあります。

1月15日：関西など、松の内が15日までの地域では、この日に鏡開きを行うこともあります。

年神様がいらっしゃる期間中に鏡餅を割るのは失礼にあたるとされているため、松の内が明けてから行うのが習わしです。

鏡開きのやり方

鏡餅の鏡開きは、年神様の宿る鏡餅を刃物で切ることは縁起が悪いとされています。そのため、以下のような方法で餅を割ります。

手で割る：乾燥して硬くなった餅を、手でひねるようにして割ります。

木槌や金槌で割る：餅が硬くて手で割れない場合は、木槌や金槌を使って叩き割ります。この際も、刃物を使わないのがポイントです。

割った餅は、ぜんざいやお汁粉、お雑煮などにして家族みんなでいただきます。

蔵開きとは？お酒好きにはたまらないイベント！
「鏡開き」と似た響きを持つ「蔵開き」ですが、こちらは全く異なる行事です。

蔵開きとは？その魅力

蔵開き（くらびらき）とは、主に日本酒の酒蔵が一般公開され、新酒の試飲や蔵の見学ができるイベントのことです。一年間の酒造りの工程を終え、新酒が完成したことを祝って行われます。

蔵開きでは、普段見ることのできない酒造りの現場を見学できたり、蔵元から直接お酒の説明を聞けたり、しぼりたてのフレッシュな新酒を味わえたりと、お酒好きにはたまらない魅力がたくさん詰まっています。限定酒の販売や、地域の特産品販売、屋台なども出店され、お祭りムードで賑わうことが多いです。

蔵開きはいつ頃行われる？

蔵開きは、新酒が完成する時期に合わせて行われるため、冬から春にかけて開催されることが多いです。具体的には、1月下旬から3月頃がピークとなります。

地域や酒蔵によって開催時期は異なりますので、気になる酒蔵がある場合は、事前にウェブサイトなどで開催情報を確認することをおすすめします。

まとめ

「鏡開き」は年神様の宿るお餅をいただき、一年の健康と幸せを願う日本の伝統行事。「蔵開き」は酒蔵で新酒の完成を祝い、試飲や見学を楽しむお祭りイベントです。どちらも日本の文化に深く根ざした素敵な行事ですね。機会があれば、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。