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お水取りとは!?

お水取り(おみずとり)は、奈良県東大寺二月堂で毎年3月1日から14日にかけて行われる伝統的な仏教行事で、正式には「修二会(しゅにえ)」と呼ばれます。この行事は、752年に初めて行われて以来、約1250年以上も続けられている日本最古の仏教行事の一つです。

お水取りのクライマックスは3月12日の深夜に行われる「お水送り」の儀式です。この儀式では、若狭湾(現在の福井県小浜市)から送られてきた清水が、二月堂の下にある若狭井(わかさい)からくみ上げられ、二月堂の本尊である十一面観音に供えられます。この清水は、若狭から奈良まで約150キロメートルの道のりを、毎年3月2日に若狭神宮寺で行われる「お水送り」から10日間かけて神秘的に運ばれてくるとされています。

お水取りの期間中、二月堂では毎晩、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶たちが法要を行います。これらの僧侶たちは、清浄潔白を誓い、厳しい修行に身を投じます。法要の中で特に有名なのが、「たいまつ行事」です。巨大なたいまつを持った僧侶たちが二月堂の回廊を走り回り、その火の粉が観客の頭上に降り注ぎます。この火の粉を浴びると、一年間の無病息災が約束されると信じられています。

また、3月14日の最終日には「達陀(だったん)の法要」が行われます。これは、練行衆が仏前で火渡りを行い、自らの身を清める儀式です。この法要も多くの見物客を惹きつける一大イベントであり、練行衆が大声で唱える「達陀」と呼ばれる掛け声とともに、燃え盛る火の中を歩く姿は壮観です。

お水取りは、春の訪れを告げる行事としても知られています。この期間中、奈良の街には多くの観光客が訪れ、伝統と歴史を感じながら、春の息吹を感じることができます。また、この行事は地域社会の結びつきを深める役割も果たしており、地元の人々にとっても大切な年中行事となっています。

お水取りは、日本の伝統文化と仏教信仰が融合した独特の行事です。その歴史の深さや儀式の荘厳さ、そして地域社会との結びつきが多くの人々を惹きつけ続けています。奈良を訪れる際には、ぜひこの歴史ある行事に触れてみてください。